ブレーキ関係

普通自動車ブレーキシステム

普通自動車ブレーキシステム

コーナリング、制動の3つが、車の運動を表しています。
「制動」が弱ければ安心して走らせることができないと言えます。重要なのは「ブレーキ」と言えるでしょう。

マスターシリンダー

ブレーキマスターシリンダーにはシングルタイプとタンデムタイプがあります。 両者の違いはピストンの数です。シングルは文字通りピストンが1個でタンデムは2個です。タンデムは縦列という意味で、ピストンが縦に2個並んでいることになります。


タンデムマスターシリンダーの特長

タンデムマスターシリンダーの1番の特長は、ブレーキ系統の何処か1箇所から液洩れが生じても、もう片方の系統でブレーキが効く“2重安全機構”という仕組みになっていることです。この仕組みが現在主流の機構で、ブレーキの安全性に大きく寄与しています。

ドラムブレーキ

ドラムブレーキとは、車のタイヤとホイールを一緒に回転しているドラムの内側から、ライニング(摩擦材)を貼ったブレーキシューを押しつけ、その摩擦効果により減速させるのがドラムブレーキです。一般的には2枚のブレーキシューが取りつけられています。その全長は円周方向の7~8割にも及びます。メカニズム的にはホイールシリンダーと呼ばれる筒のなかを油圧で移動するピストンがドラムにブレーキシューを押付けるのですが、以下の2通りのタイプがあります。リーディング&トレーディング・タイプと、リーディング・タイプです。

リーディング&トレーディング・タイプ

 ひとつのシリンダーに2個のピストンがあって、前後のブレーキシューを押す。

リーディング・タイプ

 シリンダー&ピストンが2組あって、それぞれが1枚ずつのブレーキシューを押しつける。


ドラムブレーキの特長

サーボ効果(自己倍力効果)です。回転するドラムにブレーキシューを押しつけることによって、ドラムに食い込む力が発生し、より強い力でドラムを押さえつけることで、結果的に強い制動力を生み出します。制動力は摩擦材の性質によって決まる摩擦係数と、その摩擦材の面積、および摩擦材を押しつける力の大きさで決定するため、絶対的な制動力の大きさに関して言うなら、ドラムブレーキは決してディスクブレーキに劣るわけではありません。

ドラムブレーキの欠点

ブレーキは熱をもってしまうために、その熱をいかに効率良く大気中に発散させるかが重要になってきます。 放熱性に関する限り、ドラムブレーキは致命的と言える欠点があります。ブレーキをかけると、狭い空間の中で、ライニングとドラムが擦れ合って大量の熱が発生しますが、空気が流れているわけではないので熱は溜まる一方。そのため、ライニングの表面が鈍ってくるフェード現象や、油圧の力でピストンを押すブレーキオイルが沸騰して、中に気泡が発生するペーパーロック現象が起きやすいのです。これがドラムブレーキの最大の欠点です。ドラムに放熱用のフィンを用いたアルフィンドラムなども誕生しましたが、やはり放熱性ではディスクブレーキにはかなわないため、ドラムブレーキは最近では少数派になっています。

ディスクブレーキ

ディスクブレーキとは、ドラムブレーキが、回転するドラムの内側にライニング/ブレーキシューを押さえつけて制動力を発生していたのに対して、ディスクブレーキは、ローターあるいはブレーキディスクと呼ばれる回転する円盤に、パッドと呼ばれる摩擦材を押しつけて制動力を生み出すブレーキシステムです。


ディスクブレーキの特長

ドラムブレーキと違ってディスクブレーキは、ローターもパッドが取りつけられたキャリパーも回転するホイールの中にありますが、常に大気にさらされているため、ドラムブレーキに比べ放熱性に大変優れています。

ディスクブレーキの注意点

ディスクブレーキは、ただやみくもにローターを冷やせばいいというわけではありません。

パッドには固有の「適温」があって、それより高くなるとフェード(ライニングの表面が鈍ってくる)してしまいますが、低すぎると所定の摩擦係数が確保できません。 そのため、レーシングカーでも寒い日や雨のレースでは、ブレーキ用冷却ダクトの空気取り入れ口をガムテープでふさぐこともあります。レース用のパッドを一般走行で使っても、意味がないどころかむしろ危険なのはこうした理由によります。

ディスクブレーキの原理

キャリパーの中にシリンダーとピストンがあり、油圧でパッドをローターに押さえつけるというものです。メカニズム的には対向ピストン・タイプとフローティングピストン・タイプの2つに大別できます。

対向ピストンタイプではピストンの数によって1組のピストンが向き合う、2つのピストンを持った2ピストンタイプ(2ポット式とも呼ばれる)が一般的ですが、パフォーマンスの高いクルマの中には4ポットや6ポットのキャリパーを採用しているものもあります。

フローティングピストンというのは、パッドを押さえつける反力を利用して反対側のパッドを引きつけるという合理的なしくみで、こちらにもピストンがひとつだけのシングルピストン・タイプと2つのピストンを持ったダブルピストン・タイプがあります。

またレーシングカーでは、キャリパーを2つもったツインキャリパーという仕様のブレーキシステムもあります。

ローターとキャリパーが大気にさらされているディスクブレーキの放熱性を、さらに高めているのがベンチレーテッド・タイプのローターです。これは2枚の円盤の間に放射状の仕切りを設けたもので、ローターの表面積を増やすとともに遠心力によって空気を強制的に流して、放熱効果を一層高めています。

大型車両ブレーキシステム

大型車両ブレーキシステム
ブレーキ各種
フルエアー式ウェッジブレーキ
ウェッジブレーキ作動原理

ブレーキ作動時のドラムとの摩擦及びこの時発生する熱によりライニングは摩耗する。ブレーキ負荷が大きければ大きいほど発熱量は多くなり摩耗も早くなる。重さ25トンのトラックを時速60km/hから停止させる時の運動エネルギーは約2リットルの水を沸騰させる熱エネルギーに相当する。

ウェッジブレーキ
  • エアーで制御 → 応答性良好〇
  • 構造シンプル → 機械効率が良い○ →エアー消費少ない → 立ち上がり早い○
Sカムブレーキ
  • エアーで制御 → 応答性早い○
  • 構造が複雑 → 機械効率が悪い →エアー消費多い → 立ち上がり遅い△
AOHブレーキ
  • エアーから液圧に変換制御 → 応答性遅い△
  • 液圧でブレーキ作動 → 立ち上がり早い○

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